さいたま市の伝承「見沼の竜」

何を書くか悩んだ結果、さいたま市の伝承「見沼の竜」を紹介しようかと思います。題名の通り、その昔見沼周辺に住んでいた竜神にまつわる伝承です。絵本にもなっているので知っている人もいると思います。

 

 

第8代将軍徳川吉宗の時代、紀州藩から来た治水家(治水とは水害や土砂災害への防災や対策を行うこと)井沢弥惣兵衛が見沼の干拓を命じられた。弥惣兵衛がその準備に取り掛かると、彼のもとに一人の女性が訪ねてきた。彼女は自分は見沼の竜神だと名乗り、

 

干拓で見沼には住めなくなるので次の住処を探さなければなりません。その間だけ、作業を中止してもらえないでしょうか」

 

と、弥惣兵衛に干拓の作業の中止を頼んできたのだが、弥惣兵衛はこの願いを聞き入れず干拓の工事を進めた。しかし、その途中で様々な災難が降りかかり工事がはかどらず、また弥惣兵衛自身も病に罹り寝込んでしまう。するとあの女性が再び現れ、弥惣兵衛に「病気を治すからどうか願いを聞き入れください」と言い、その後も毎晩のように現れては明け方には姿を消す、というのを繰り返した。弥惣兵衛はみるみるうちに回復していったのだが、ある晩、弥惣兵衛を訪ねた人がこんなことを目撃していた。

 

蛇女が炎を吐きながら眠っている弥惣兵衛の体をなめ回していたのだという。その話を聞いた弥惣兵衛は恐ろしくなり、逗留先を天日の大日堂から片柳の万年寺に移すと、その後は何事も起こらず干拓の工事も滞りなく進んでいった。しかし万年寺で村人の葬儀を行った際、棺桶が山門を潜った途端黒雲が空を覆い、暴風がその棺桶を持ち去るという怪事が発生したが、弥惣兵衛が万年寺を去ると怪事が起こることはなくなったのだが、弥惣兵衛の支援をした関東群大の伊奈氏がオタケ様と呼ばれる竜神に祟られてしまい、次々に災難に見舞われた。竜神が氷川女体神社に移ったことを知った伊奈家の家臣が神社を参拝すると祟りは収まったという。

 

 

ちなみにさいたま市にはこの「見沼の竜」伝承がモチーフの「つなが竜ヌゥ」というPRキャラクターがいます。伝承に登場した竜神の子孫という設定だそうです。

 

参照

見沼の竜伝承 - Wikipedia

http://www.city.saitama.jp/006/012/001/004/007/p009868.html